コラム

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第8回 口コミの功罪

 最近の開業は1年目,2年目における患者さんの伸びが以前に比べ少なくなっています。 特に都市部にこの傾向が見られます。
 原因の一つには、都市部で医院数が増え競争が激しくなってきたことが考えられます。 また地域内の横の繋がりが減り、患者さん同志や地域住民内でのコミュニケーションが希薄になり、口コミが広がりにくくなってきたのも一因でしょう。
 患者さんの増加は看板などの広告で広がりを期待するには金銭的にも限界があります。 ただ口コミで怖いのは、いい評判も悪い評判もあると言うことです とくに悪い評判は広がりやすく、なかなか真実を伝えられないことに問題が生じます。
 実は当社もある器械屋さんの悪意ある噂が流れ迷惑を被った事もあります。 これなど全く根も葉もないことで、ある産婦人科医の開業に関して当社が当事者であるような噂が流れました。福岡市のI建設と当社を間違え、さも当社が原因であるような噂が流れたようです。 悪い噂の原因を探ることはなかなか困難です。 人の口に戸は立てられませんが、日頃より後ろ指を指されないよう一つ一つの仕事に誠意ある対応をしておかねばなりません。
 医院の開業でもドクターの説明やスタッフの対応・検査内容などいくらでも悪評となる原因は発生します。院長は、診察室の中で受付の対応や看護師の処置方法などに目配りするのは、なかなか難しい物があります。 また窓口に投書箱を置いたり、年に一回くらいは患者さんにアンケートをお願いし医院の印象など尋ねて見ることも必要かも知れません。
 アンケート結果などを材料に反省したり、いい部分はさらに伸ばしたりすると共に接遇教育や院内での訓練・勉強会など絶えず院内活動を行うべきでしょう。 こういった一つ一つの努力の結果が口コミの広がりとして患者さんにいい影響を表すのではないでしょうか。

第7回 福岡の開業事情

福岡県の開業状況はここ数年100件前後で推移しています。
その中でも福岡市及びその周辺地区に60件を超える開業が集中しており、一極集中の感があります。 これはドクターに大都市を好む傾向があり、また子供さんの教育環境やご家族の住居環境など開業の成功とは縁の無いところで開業場所が決定されています。
開業された医院の開業後を見てみると患者さんの状況は、都心部に近づくほど集まりにくく、地方都市や郡部になるほど患者さんの伸びは良いようです。 私たちは、開業の基本はプライマリーケアにあると考えています。 その点からいっても地域と密着できるのは福岡市の中心部では難しく南区や早良区などの住宅地や郡部に行くほど患者さんの信頼を得やすいのではないでしょうか。

では中心部で成功する方法はと考えると、よほどの知名度があるか他の医院やドクターにない特徴を打ち出せるかによって成功の可否が決まります。 また天神地区や大名などの中心部で診療科目的に成功しているのは美容系、形成皮膚系、眼科系 婦人科系 精神科心療内科系など特定の診療科目に限られているようです。 内科系クリニックは、天神・大名の地域内で50軒を超え、多くの医院が苦戦がされていると聞いています。
 ここ最近、診療科目毎の状況を見ると眼科の開業が突出しています、将来的に見ても歯科並みの開業数に近づくのではないでしょうか。また内科系はここ数年コンスタントに開業が続いています。しかし専門性で開業方法が分かれてきており、消化器科や循環器科・呼吸器科などに分かれるのは当然のこと とし、その中でも肝臓や腎臓・糖尿・乳腺など臓器毎病気毎に細分化された特徴を持つ開業も中心部では増加しています。
 外科系では無床での開業がほとんどで肛門科を標榜しない限り内科、消化器科との垣根が無くなって来ています。
 整形外科では診療報酬の改訂というパンチが効いており、開業投資額が大きい上に人件費も大きいなど投資額の割に収益が見込めず、ひと頃の開業ブームは消えています。
 耳鼻科・皮膚科・小児科は、ドクター不足が開業の分野でも見られ、開業好立地があっても開業希望のドクターが居ないと行った傾向にあります。
こういった開業事情を見てみると将来開業を目指すドクターは、研修医時点から将来を見据え成功の確率の高い診療科目を選ぶ必要がありそうです。 また確実な成功を考えるのであれば場所を選ばず競合の少ない地方都市や郡部も選択する気持ちを持つ必要があります。

第6回 新規開業後の増患対策は?

今回は増患対策です。
相変わらず新規開業される先生方が、増え続けているのには驚きます。 数字的には福岡県内では毎年100軒前後の新規開業が続いており、地域的には福岡市内及びその近郊が60%以上を占めています。 こういった開業が続く中、開業後の患者さんの増加に伸びが見られず、ご苦労されている先生方が増えています。
 では開業後に患者さんを増やす工夫は無いのでしょうか?
まず、現在のカルテを住所毎に分類する。 次に開業の計画時に作成された診療圏内の町丁毎の人口数に対比させ、対人口来院患者数を算出する。こうすると予定された診療圏内からどのくらいの患者さんが来ているか、また認知度が広がっていないかが見えてきます。
この調査はカルテ枚数が500枚を超えた時点で行うと現在の状況が良く判ります。 それから、この結果を基に対策を考えていきます。

・看板の配置を見直し
 500m以内の診療圏内であっても人の流れは都市の中心へ向かって行きますので住民の方に開院したことが気づかれていないことも考えられます。人の流れに対応した看板になっているか配置を再検討しましょう。また必要のない看板は、廃止することも考えましょう。

・幅広い認知度を増すためには?
 診療科目によっては新聞やフリーペーパーなどの媒体による宣伝といったことが考えられます。これも単なる宣伝に終わらないよう記事広告であったり、健康相談会などの告知を兼ねることも必要です。

・地域との交流を増やす
 これは、各地域の公民館などへのアプローチを行い健康講座などの開催をお願いする
  (厳密には協力を申し出る)

こういったことが患者調査から考えられます。 患者さんを増やすには口コミが重要な訳ですから口コミで認知度を増加させるには、競合医院との差別化が必要です。 しかし医療内容で差別化を図るのはなかなか難しい物があります。 例えば・・・

・診療時間を根本的に見直す
 土曜日を休診日にする代わりに日曜日の診察を行う。 平日も1日位20時までの夜間診療日を設定するなど、工夫する部分はいくらでもあるでしょう。しかしこういった事はスタッフの協力が必要となりますので、変更の理由や患者さんの来院状況を詳しく説明し、交代で勤務をして頂くことなど協力をお願いしましょう。

・予防接種などの料金は自由に設定が可能です
 インフルエンザの予防接種などは一種の宣伝と考え、思い切って他の医院より大幅に安くすることにより口コミ効果を増やすことも考えるべきです。 医科の世界ではこういった診療時間の設定や自由診療部分の価格設定対応は珍しいと思いますが、歯科の世界では夜間24時までの診療や休日診療は当たり前のように行われています。
 医科でも都市部での開業や競合度の高い診療科目では、もうそろそろこういったことを考える時期が来ているかも知れません。新規開業した医院を維持・発展させるためには先生のプライベートな部分を犠牲にしますので、先生自身の覚悟や体力維持そしてご家族の協力、またスタッフの協力が必要となってくるでしょう。

第5回 医院づくりはモデルルームなの?

色んな医院へ訪問する機会が多いのですが、新しい医院なのに”どうしてこうなってるの?” と感じることがあります。
例えば・・・
 ・外部から待合いの中が、見えない閉鎖的な設計やデザイン
 ・一番混雑する受付の作業性を考えていない設計
 ・診察室のプライバシーが保てない設計
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こういったデザインに捕らわれすぎて患者さん側に立った設計になっていないものなど出来上がったものが私たちの考える”患者さんに優しい医院”とはほど遠いものになっていて”エッ 何で!”と思うことがあります。 設計士やデザイナーの中にはこういったことを指摘しても受け入れず、デザインにだけ捕らわれ自分の作品としての主張だけを言う方がいます。
殆どの原因は、設計士やデザイナーの考え方にあり、医院づくりを”作品”や”商品”としてしか見ておらず、見た目だけにこだわり、あまり患者さんの目線で医院の設計を見ていません。
 私たちは住宅展示場に行きモデルルームを見てため息をつきますが、いざ住むとなると収納が不足していたり、落ち着かなかったりすることがよくあります。 医院づくりは、モデルルームでは有りませんから見た目のデザインにだけこだわる先生にとってはそれでも良いのでしょうが、医院の主役は、患者さんであり先生やスタッフが、毎日使うものと言うことを忘れてはいけません。
設計士やデザイナーにとって作品としての価値や満足感があっても患者さんやスタッフが不自由を感じたり、安らぎ感を患者さんに対して与えきれない設計では意味が有りません。 施主からの指名で設計士やデザイナーを使わざるを得ない場合はこういった結果が生じないよう設計士に注文をつけたりもしますが、聞く耳を持たない方が多いこと.......嘆き!
こういった場合、期待に反する結果が生じても仕方が有りませんが、患者さんに対して医院への入りやすさや心地よさを与えることが出来無ければ、その結果は院長である先生に降りかかります。 決してデザインを軽視するわけでは有りませんが、設計士やデザイナーを選択する際にはじっくりと話し合い、患者さんの目線で設計してもらえる人、流行っている医院の設計を数多くこなしている人、その上でデザインセンスのある方にお願いしたいものです。

第4回 競合を勝ち抜くための差別化(2)

 前回は差別化として患者サービスの充実を取り上げましたが、差別化の第二弾としてプライバシーの確保を取り上げます。
これまでの医院造りは、プラン的に見て院内動線の効率化などスタッフの効率や能率向上を中心に医院側から見た設計が考えられていました。
しかし、昨今のプライバシー保護意識の高まりを考えると医院造りに於いてもこの流れを無視するわけにはいきません。 診療科目によっては、病気の内容を知られたくない患者さんもいる訳ですから、受付で病気の症状を聞くことや受付名簿に名前を書かせることなども控えるべきではないでしょうか。
対策としては、受付順に番号札を渡したりコンピューターによる自動受付を行うことも一つですし、問診についても看護スタッフによる問診コーナーを設け、他の患者さんに受診内容が判らないようにするなども検討する方法の一つでしょう。
 また、診察室もカーテン1枚で仕切られたとなりにスタッフ作業台があって、スタッフ通路から診察室が丸見えのオープンな設定よりも診察室を個室化して患者のプライバシーを尊重した造りも必要でしょう。 スタッフにとってはドアを開けるという動作は面倒なことだとは思いますが、これからの医院は、患者さん中心に考え、安心して相談できるようプライバシーの確保に注意を払った医院のプラン構成が望まれます。 こういった考え方が、口コミで患者さんを増やし信頼される医院となるのではないでしょうか。

第3回 競合を勝ち抜くための差別化(1)

ここ数年、開業の増加は止まることを知りません。これからの開業で競合のない場所を選定するのは、余程の郡部に行かない限り難しい状況です。
 既に過当競争の時代に入っている歯科を見ればおわかりと思いますが、サービス競争の時代に入ってきています。夜間診療、日曜診療に始まり、場所によっては24時間診療を行っているところもあります。近い将来、歯科まではいかなくても医科も似たような状況になってくるでしょう。
 では、いかにすれば競合に勝ち抜けるか、または共存できるかということですが、医院外観や内装に特徴を持たせたり医療内容(特に高額医療機器の採用)で差別化するなどのハード面での差別化だけでは、競合医院も改装や機器の導入で容易に行えるのですぐに追いつかれます。 ましてや近くに新規開業などの新しい医院が出来た場合には、より新しいデザインの建物や医療機器を揃えられますのでハード面での差別化だけでは勝ち抜けません。
ただ駐車場がたくさんあることは、優位な条件となります。車社会の現代ですから都市部といえども、なるべく多くの駐車場を確保することが必要です。
 では一番の差別化は何でしょう? 患者サービスの充実ではないでしょうか。 医療の原点は、サービス業として人と人との交わりにあると思います。 他医院より一歩進んだ高度なサービスを提供するかは、他業種に学ぶのが一番良いのではないでしょうか。航空会社の機内サービス、一流デパートの顧客サービス、一流ホテルの接客サービスなど医療の現場では考えられないほどの気の使い方や高度なサービスの提供が当たり前のように行われています。 こういった他業種のサービスをいち早く導入し、患者さんとの繋がりを強固にすることが、一番の差別化だと考えます。
もちろんスタッフへの教育だけではなく、先生ご自身も接遇教育を受けて患者サービスの向上をはかりましょう!

第2回 開業資金の調達

 開業を考え始めた時に一番気がかりになるのは、開業資金の融資ではないでしょうか。
テナントでの開業の場合は、賃貸費用、内装費用、運転資金を入れて3000~5000万円。
土地からの場合ですと土地、建物、運転資金の合計で1~2億円と多額の資金を 必要とします。
しかも、これらに医療機器の費用は含んでおりません。当然のことながらこういった資金を自己資金で賄うなど不可能といってもよいのではないでしょうか。
では、この資金をどうやって賄うかというと銀行融資です。そんなに貸してもらえないんじゃないかと不安に思われる先生がほとんどかと思いますので、当社で融資を紹介した例を挙げてみると・・・
(土地からの開業の場合)
 診療科目     : 内科系
 融資銀行     : 有力地方銀行
 融資申し込み時 : 勤務医
 担保        : 購入の土地、建築する建物
 保証人       : 夫人
 融資期間     : 1年据え置き20年借入
 融資金利     : 変動 年2.425%
 自己資金     : 500万円
 借入金額     : 12,500万円
            (内訳) 土地代   3,500万円(内500万円は自己資金で充当)
                建物代   7,000万円
                運転資金  2,500万円
(テナント開業の場合)
 診療科目     : 内科系
 融資銀行     : 有力地方銀行
 融資申し込み時 : 勤務医
 担保        : 親類の土地(評価1000万円)
 保証人       : 夫人、ドクターの親(担保提供者)
 融資期間     : 1年据え置き15年借入
 融資金利     : 変動 年2.425%
 自己資金     : 500万円
 借入金額     : 4,500万円
            (内訳)   賃貸費    500万円(敷金として500万円の自己資金を充当)
                 内装費用  2,000万円
                 運転資金  2,500万円

 このように自己資金は500万円くらいが一般的です。最小限の担保や自己資金を金融機関に提示して提供するのがポイントとなります。
 金融機関は、担保を重視する金融機関と事業計画を基にした将来性を重視する銀行に色分けされます。当然事業性を重視する金融機関と折衝するわけですが、2~3行に同一条件を提示し融資交渉すればその銀行の融資に対する姿勢がわかります。
  自己資金額ですが、開業後の緊急な出費、家族の生活費や子供の進学費用などもあるでしょうし、なるべくその分は留保しておいて、決めるのが良いでしょう。
 さて、問題なのがテナント開業の場合です。担保なしで保証人は夫人のみという条件で貸してもらえる金融機関は皆無に近いと言えます(但し夫人が医師の場合は除く)。 その場合、保証人は夫人と両親だけで交渉する必要があります。 これでも難しい場合には、国民生活金融公庫などの公的な無担保融資とリース会社などで内装資金融資をカバーする道もありますし、開業後であれば医師会入会後に医師信用組合の無担保融資の利用などもあります。
上記のいずれの場合にも医療機器や備品等はリースで賄います。これを借入で賄う場合には、担保や保証人が必要となりますます融資が困難となります。
 資金で諦めず、より有利な条件で融資してくれる金融機関を探しましょう。金融機関が納得できるしっかりとした事業計画、収支計画をたてることも忘れずに!

第1回 開業場所選択のポイント

 競合医院が、ひしめき合う都市部において、開院当初から計画通り患者数が、増加していくことは容易ではありません。
 数年前までは、整形外科など開院数ヶ月で多くの患者に来て頂き、「今期儲かりすぎたからベンツでも買って、経費で落とさないと」なんて話も聞かれましたが、それも昔話になりつつあります。 都市部において、競合医院がない地域など皆無に近いのですから、これから開業をされる先生方は、より詳細なマーケティングリサーチを行って、“院長が高齢化している”とか、“評判が悪い医院しかない”地域などピンポイントで狙っていく必要があります。
あと郡部を狙うのも一つです。 ただ、先生自身が、都心部に住まわれている方が多い為、お子さんの教育環境や生活の利便性等々を考えると、どうしても都心部での開業を希望されます。
 ですが、それは誰しもが希望することなので、競合も多く大変リスクの高いものとなります。 我々コンサルタントの立場から見ても、都心の中心部では、予測が付きにくく事業計画が立てづらいというのも正直なところです。
 しかし、郡部ですとまだ競合も少ないので、土地代も安いこともあり広い駐車場をもうけ、広範囲に患者を集められる医院造りを行えば、都心部以上の成功は見込めます。
 ただ、この場合の問題点もあります。土地があちこちにある分、競合も出てきやすいという点と好適地が農地である場合が多く、なかなか農家の方が先祖代々の土地を手放したがらないという点です。 都心部、郡部にそれぞれ一長一短はありますが、これらを踏まえ十分なマーケティングリサーチを行い先生方が満足出来る開業をサポートしていくのが我々の努めだと思っております。